西遊記 玄奘三蔵と孫悟空
更新日: 2011-04-30 (土) 14:12:28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 最勇気おっしょさんと猿の話
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 今日の放送のあとの話だってさ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
うれしかった。夢であっても、いや、夢だったからこそ母は私にとって美しく、
優しく、望むままの姿で現れたのだ。
静かに折り紙を続けるその白い指を、永遠に見ていたいと思った。
優しい声で、自分の名前を何回でも呼んで欲しかった。
修行が足りない。そう皆には言ったけれど、今眠るこのひと時ならば
思い出しても、罪にはならないだろう。
思うときに、母は何度でも私の心に蘇るのだから。
ハ"クから逃れ、原状達一行はその日の夜を過ごすために宿を取って
皆布団に入っている時刻だった。
原状は、横になってそれぞれに寝言を呟く仲間を見てそっと笑う。
もはやハ"クが見せた夢の事など忘れているようだ。
その様子に安心して今までそうしていたように顔を窓へと向ける。
――――あぁ、綺麗な月夜だ。明日もきっと、晴れてくれる。
原状はそう思いながら、自分の顔を月光に当てていた。と、
「…おっしょさん」
「ご…っくう、どうしました。眠れないんですか」
いきなりの声かけに驚き、原状は相手の顔をマジマジと見てしまう。
対する後空も眠った様子もなく目をしっかりと見開いて原状を見ている。
そしてしばらく眉を顰めるように顔をしかめたあと、眠るものを起こさぬようにか、
小声であーとか、うーとか、唸りながら何かを言いあぐねている。
「…眠れない」
「そうでしょうね、あれだけ昼寝したんですから」
ハ"クの屋敷で一睡もできなかった後空はそのあと、また昼間に爆睡してしまったのだった。
原状もなんどか起こそうとはしたが、決して動かなかった為、
結局著八回と差五条にかわるがわる引きずられるようにして移動してきたのだ。
「いけない事です。規則正しい生活をしなくては健康な体で過ごせませんよ」
当たり前の事を呆れたように話す原状に、いつもだったら二言ほどは噛み付く後空は
なぜだかじっと俯いたままだった。
「…後空?」
「でも、眠れないし…」
拗ねたようにも聞こえる声に、とうとう原状はため息を押し出す。
「横になって、目を閉じなさい。体を横にするだけでも疲れは取れます」
「…まくらなげ」
「後空、皆眠っています」
「じゃあ、おっしょさんが折ってたやつ」
「…なんです?」
「なんか、おっしょっさんの、か、かーちゃん?…が折ってたやつ。見せて」
「これですか?」
そう言って原状が懐から出したのは人を模した折り紙だった。
自分がハ"クに現実を食われたときに、夢として出てきた母はそれこそ幾つもの折り紙を作ってくれた。
しかし結局残ったのは自分が折ったこれ一つだけだったのだ。
それを後空に見せると、初めて見る折り紙に興味があったようで「こんなんなってんだー…」と
面白そうにひっくり返したり逆さにしたりしている。まるで子供だ。
と原状はほほえましい気持ちでそれを眺めていたが、後空はぴた、と動きを止めてしまう。
「ど、どうしました、後空」
「おっしょさん…なんか、まっ平らの紙になったー」
後空は折った所を一つずつ広げて見ていたのだった。そしてそれを原状が咎めるはずもないのに、
しまったという顔をして原状を見ている。
「いいんですよ、後空。もう一度折ればいいんですから」
「折って折って!どんな風にするのか見てぇー!」
「静かに!後空」
「…あい」
いつもより殊勝なその声に苦笑いを漏らし、原状は膝の上で綺麗に紙を広げて均す。
そしてゆっくりと、指を動かして紙を折りたたみ始めた。
後空は感心したり神妙な顔で覗き込んだりとひと時も目を離さない。紙を折る、僅かな音だけがそこにあった。
「…なんか、似てる」
「何がです?」
時間を忘れて集中していた原状は、また後空の言葉に驚いて顔を上げる。
驚いた原状に、後空も驚いたようで、二人で目を開いてお互いを見る。
「おっしょさん、かあちゃんに、似てるな」
「親子ですからね。似ていますよ」
「鼻とか、指とか」
「そうですか。嬉しいですね」
「おっしょさん、本当はかーちゃんのとこにいたかった?」
「後空…?」
「…なんかよく、わかんねぇけどさ。あんなに嬉しそうなおっしょさん初めて見た」
原状は指を止めて、後空を見る。明日に生きる、と言って夢の中で幸せだった人たちを過酷な現実に戻した後空が。
「いいえ、…おまえも言ったでしょう。私も、明日に生きるためにここにいるのですよ。
母は私の心にいます。いつでも会えます」
「死んだやつが、心にいるのか?」
「えぇ」
「それってさ…に、んげんとかだったら、分かるのか?」
「そうですね…人間なら、誰でも心の中に愛しい人を抱いているのかもしれません」
「ふぅん」
「後空にも、いつか分かりますよ」
「そっか」
いつか分かる、と原状が言うと、後空は唇の両端を上げて笑う。
それにつられて、原状も微笑み返す。
「おっしょさんのかあちゃんて、優しいんだろ」
「えぇ、優しかったですよ」
「だろうな、おっしょさんに似てるんだもんな」
不意打ちの一言に、原状は、ぎゅうと、胸が絞られる思いだった。
自分が母に似ていると、あの白い指も細い鼻梁も。そしてその、心さえ。
「うっわ!なんだよおっしょさん!泣くなって!えぇ~!どうして!俺今おかしいこと言ったぁ?」
ぽろ、と瞳から涙が出た。しかし原状は微笑んだままだった。
「いいんです、後空。悲しいわけではありません」
「はぁ?悲しくないのに涙が出んのか?」
「えぇ、人間なら。悲しくなくても、痛くなくても、涙が出るんですよ」
涙はたった数適しか落ちなかった。頬を拭い、後空を見ると不思議そうな表情でこちらをうかがっている。
「さぁ、ほら。折り紙もおしまいですよ。もう眠りましょう」
「眠らねぇ」
「これ」
「おっしょさんが眠るまで見てる」
「後空」
原状から渡された折り紙をマジマジと見ながら、後空はそう言った。
「おっしょさんが寝てから眠る」
「私はすぐ眠りますよ」
「いいからもー!寝ていいよ!」
どうにも話がおかしな方に行っているが、こうと決めた後空がテコでも動かないと
知っている原状は諦めてその身を横たえる。
「後空、おやすみ」
「はい!」
威勢良く返事をして、後空は笑った。
そうして、原状もやはり笑った。
それは、後空が見た、母親と一緒にいた時の現状の笑顔と同じものだった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 今日初見で萌えまくった。勢いのみだが私は謝らない。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
このページのURL: