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おぎやはぎ

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  462です。マイドキュメントを整理してたら出てきました。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  荻萩のお話、暗めです。
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「俺さぁ、死ぬ時は荻に殺されたいな。」

散々互いの身体を貪って、もう動けないってくらい疲れ果てて。
疲れてるとロクなことを思いつかない。不意に思い浮かんだ
言葉は口にすると酷く不気味な舌触りになって、二人の間を彷徨った。

「んー?腹上死?」
「バーカ。首しめんのでも、毒殺でもいーけどさ。」
「俺捕まるじゃん。」
「刑務所ん中で俺のこと思い出してよ。」
蛍光灯の切れた暗い部屋に、裸で二人っきりだからこんな気持ちになるんだ。
荻は穏やかに笑っているようだけど窓から入る見事な満月の光を持ってしても、
細かい表情は読めやしない。
「…暗い話に暗い部屋で縁起悪いねぇ。」
「うん、明日蛍光灯買いに行かなきゃ。」
明日と言わず今からでも、コンビニに行けば買える。そうは思ったものの、
動くのが億劫なのでそんな考えは無いことにした。荻も、何も言わなかった。

「蛍光灯と電球間違えるなよ。」
「何処の誰がそれ間違うんだよ。」
「おー、ヤ萩今日月凄いよ。見て見て。」
「…お前の話はトぶねぇ。」
そうは言うものの本当に見事な月がぽっかりと浮かんでいたので、しばらく二人
無言のままぼうっと月を眺めてしまった。金色で、まん丸で、決して手が届かない。
それは遠いようで常に身近にある、何かを暗喩しているようだと思った。
「たまーにね、夢見るんだ。」
「夢とか見るの?」
「そりゃまぁ、人間だしねぇ。」
「どんな夢?」
「ヤ萩とヤってて、ずーっとヤってんだけど、いつの間にかヤ萩の身体が
足から砂になって消えちゃうの。ヤな夢でしょ。」
その砂は、願わくば、どこかの海辺に戻してほしい。咄嗟に思ったが、口には
しないでおいた。それは余りにロマンチック過ぎる。
「…疲れてんじゃない?」
「…かもねぇ。」
当り障りの無い返事を返しつつも、俺はぼんやりと想う。

俺の身体(元)を使って子供が遊ぶ。
俺の身体(元)の上でサーファーが休む。
俺の身体(元)の上でカップルが愛の言葉を囁き合う。
そして荻はたまに砂を抱き泣く。
…泣いて、くれるだろうか?

「ヤ萩。」
「何?」
「ずーっと考えてたんだけどさぁ、俺やっぱりお前のこと殺したくないわ。」
「うん?」
ついさっきしたばかりの話を思い出すのに、少しの時間を要した。若年性痴呆症、
というイヤな言葉が頭をふとよぎる。
「あのね、死ぬ時は二人で南極行くの。」
「………南極ってあの南極?」
「そうそう。んで、二人で凍死。これ良くない?」
「……………」
ひょっとしたら自分が思っている以上に、俺は荻に愛されているのかもしれない。
きっと砂になっても氷の塊になっても(尤もこれは二人ともだが)
荻は泣いてくれるんじゃないだろうか。
「すげぇ良い考えじゃない?」
「良いね。手ぇつないだまんま凍っちゃえばもっと良いな。」
「失楽園みたいだねぇ。」
「アレはちょっと…青酸カリは、ねぇ。」
「…南極の行き方、調べとこうか。」

微かな月の光が暗い部屋を照らす。
しんとした部屋にたゆたう淡い光は、希望の光と呼ぶには儚すぎて。

「んーん。まだいいや。後三十年くらいは。」
「ジジイ二人が仲良く心中かぁ。見つかったら何て言われるかねぇ。」
「そんなの関係ないよ。」
「あ、メガネ取ればいいんじゃない?そうしたら誰だかわかんないから。」
「メガネは顔の一部だからな。」

下らない会話をしている内に身体の疲れは少し引いていた。

明日は二人で蛍光灯を買いに行こうと荻を誘ってみようと、思う。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 暗めでナマモノでスマソ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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他の作品も~と仰ってくれた姐さんに捧げます。
凄く嬉しかったのです。ナマしかなくて申し訳ない。

  • 荻萩いいねえ。もっと書いてぇ -- ゆかぶた? 2014-12-01 (月) 14:11:36

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