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新撰組 山波×土方

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                    |  歴史物。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  幕末組 山波×肘方
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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肘方さんに泣かれてずいぶん経った。私たちはろくに口を聞いていない。
若先生の助言のとおりにしてみるも、若先生がしたときのみ効くものだったらしく、全く効果がなかった。
あの方が肘方さんからの特別な好意を正式に受け取らないうちに、手に入れてしまおうか。
そんな考えが、私の脳の片隅に生まれた。想い合っていることは確かだが、まだ行動に表したことはないようだ。
今奪ってしまえば、若先生の勘違いだったということに出来るかもしれない。
「いいでしょうか」
小声で言っても、小さな灯りからは何の返事もない。
寝ようと布団をかぶったところで、浮かぶのは前に見た赤い目だけだった。
起きても眠れた感覚はなく、空を見るとまだ夜明け前で、青黒くほの暗い。

私はため息をついて袖の乱れを直し、ふと気づいた。寝不足で、痩せている。
元々痩せ気味だと分かっていたが、前よりもいたたまれない細さになっている。
見ているうち、空は東から順に暖かい色に染められていく。
それは肘方さんが句をひねるかと想うくらいの景色だった。何を見ようとも、あの乱れた着こなしの姿が思い浮かぶ。
最初は、言ってしまえば気に入らなかった。
荒々しく、論というものを知らない人物だという感じが強かった。
日に日にその愚かさと共にある素直さに苛立ちつつ、惹かれていく自分に気づいた。
出来るなら一生胸の奥だけに、という試みは容易に崩された。婚礼の日が原因だ。

婚礼の日を思い出すと、後悔ばかりが沸いてくる。
置田くんたちと共に儀式を覗く姿は、少々行儀が悪いが、無邪気な喜びが垣間見られた。
良くも悪くも彼らしいところを見て、私は苦笑して通り過ぎた。
いつのときでも幼馴染のめでたいことは喜ばしいもので、そこに説教はいらない。
その後、慌しい事も終わり、食客たちだけで酒を交わしていた。
話は若先生の婚礼の話からご新造さんの話、自分たちの恋愛の話と移り変わって行く。
私は大分飲みすぎたと省みて、外の風を浴びに出た。
月だけが頼りの暗い庭を見回す。肘方さんは食客たちの中に居なかったことが気になり、静まり返った中で心配になっていた。
ぱしゃ、と水の跳ねる音がした。
耳をすませて井戸へ近づいていくと、暗い中でも白いきれいな顔が視界に入った。
自ずと言葉が出てしまうくらい魅せられたのを覚えている。
「なぜ来なかったのですか?」
俯いて、赤い目が覗く顔を見れば、余程鈍感でなければ分かるはずだった。
思う以上に酒に酔わされていたのだと思う。
つー、と伝う涙を見るまで、私は何も気づかずに肘方さんの返事を待っていた。今思えば愚かで、恥じ入るばかりだ。
私は、俯いて泣く肘方さんを部屋に入れて座らせた。
そのとき私は完全に酔いは醒めたものと思い、嗚咽を漏らす肘方さんの背中をさすり続けた。
少しおさまったところで、息苦しいのか肘方さんは肩で息をしていた。
「かっちゃ…ん」
このときほど、細かい性根を嫌だと思ったことはなかった。
頭に血が上るようで、気づけば壁に押しつけていた。
それでも未だ肘方さんの目はうつろで、真っ赤な目をしていた。
欲と嫉妬は、自覚のない酔いによって増していたらしい。
私は食客たちの集まりに戻らず、部屋で一夜を越した。

せみの声がうるさくなった頃に、肘方さんは目を覚ました。もう目は充血しておらず、いつもの目に戻っていた。
私の姿を見ると、肘方さんはまた涙を流した。
しかし、井戸に居たときとは違い、拭って隠そうとした。
目をこすりすぎるからか、みるみるうちに目は充血していった。
涙を拭いながら、肘方さんは着る物全てを掴み、着替えを済ませた。いつもに増して着方は乱れていた。
「何で来なかったかなんて、あんたに知られる筋合いはない」
ぴしゃりと戸を閉められ、私は一人取り残された。
それきり、今までずっと口を聞いていない。
後悔の念で落ち込む私をしりめに、辺りはすっかり明るくなっていた。

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