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ファイナルファンタジー6 バルガス×マッシュ

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                    |  FF6のバルガス×マッシュです。マイナー…
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実の父親にさえ実力を認められず
憎しみに狂ってしまった兄弟子を…何を思って見ていたのだろう?

好きだったんだ。
心から尊敬していた。
憧れていた。
不器用で…それでも、優しいあの人が好きだった。

王位継承のゴタゴタが嫌で城を出て
「強くなって帰ってくる」と約束したあの日…
王位を双子の兄―エドガーに押しつけてしまったという罪悪感に苛まれながら
やっと辿り着いた街は、知らない人ばかりだった。

当たり前だ。
自分は、体が弱くてまともに外に出れなかったのだから。
一人で街に来るのは、初めてだったのだから。

――どうしようもない不安、淋しさ、動悸…

街の入り口で突っ立ったまま、堪えきれずに出てきた涙を拭うばかりの俺に
あの人は、低いながらも、優しい声をかけてくれた。

「どうした、迷子か?」

顔をあげた俺は一瞬、驚く。
背が高く、筋肉質で銀髪の男性が立っていた。

―この人が、ダンカン師の……

ダンカン=ハーコート…かつてはフィガロ随一の格闘家であり
その強さは並大抵のものではなかったと言われていた。
…もしこの人の弟子になれたら、俺は…強くなれるかもしれない。
もう周りに迷惑をかけることも無くなるかもしれない。
そう思ってこの街にきた。

―――もしかしたら…この人が、ダンカン師の…

だが、緊張からか声はでなかった。
言おうとしても全身が震える。
そんな時、あの人が俺の手をひく。
「あ……。」

「…この街に来るのは初めてか?」

―手をひかれながら、聞かれる。

「は、はい…あ、あの…一人で来たのは初めてです…。」
なんとか声を出して返答する。
ふと、あの人の動きが止まる。

「…………………。」

――無言のまま振り返ると、じっとあの人は俺を見て言った。

「…ほう、お前が、親父が言っていた…。」
…親父?
「……あ、あの…」
尋ねようとする俺に、あの人は微笑んで言う。
「なんだ、お前がマッシュか。
父のダンカンから話は聞いている。
…家は多少、街外れのほうにある。そこまで歩くぞ。」
「え…え?」
「忘れていたな。俺はバルガス。
バルガス=ハーコート。ダンカン=ハーコートの弟子兼息子だ。」
―状況がわからず戸惑う俺の手をひきながら、あの人は自己紹介をする。
弟子どころか、息子さんに会えたなんて。
こんなに優しい人が、ダンカン師の息子さんだなんて。
自分の想像とは遥かに違ったその性格、その言動に安心したのか
その後の俺は、バルガスに抱きついて泣いたらしい。
…会ったことははっきりと憶えているのに、
紹介してもらった後の事は全く憶えていない。
それだけ緊張していて、張りつめた糸が一気に切れたからなのか。

とにかくその後も、バルガスは不器用ながら、俺に優しく教えてくれた。
兄エドガーと別れた淋しさからか、修行のつらさからかはわからない。
でも俺はそんなバルガスに、次第に…惹かれていったんだ。
ダンカン師もダンカン師の奥さんも、厳しく、時には優しく接してくれた。
本当の家族のように、暖かかった。

…だから、自分が奥義を継ぐとか継がないとか
そんなことは気にも留めていなかった。
ただ、この暖かい幸せがいつまでも続けばと、それだけを願っていた。

それなのに…続かなかった。
「宿命」というものは残酷だった。

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