売り込み
更新日: 2011-05-01 (日) 13:07:40
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|またお邪魔しますモナ。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|前スレ埋673-676と同時期をほぼシ"ェリー視点で。
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ほんの少しだけエロ気味。
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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いつも萌吐きに利用させていただいております。何度もすいません。
60年代飴ナマモノ2人組(シ"ェリー×卜厶)です。
ひとたび「聖域」を冒すと腐妄想が止まらないものですねorz。
現在のところ、2人の相手をしてくれるレコード会社は見つからない。年齢の割に
世慣れていると自負しているシ"ェリーだが、海千山千の業界人に15歳の少年2人がかなう
はずもない。数え切れないほどのドアが目の前で閉められる。
週末の売り込み小旅行を始めてから1ヶ月、4回そんな土曜を過ごすと、卜厶の表情は
曇ったままになる。内気な彼は売り込みに向いていない。1つ1つの拒絶を受け止めて
落ち込み、目に見えて足取りが重くなっていく。足が止まり、シ"ェリーが文字通り手を
引いてやらないと再び歩き出せなくなることも何度かある。
5回目の土曜日の朝、シ"ェリーの家に電話がかかってくる。卜厶はシ"ェリーを電話口には
呼び出さず、彼の母親に、熱が出たので今日は家で寝ていたい。と伝言する。1時間後、
シ"ェリーは卜厶を見舞うため、彼の家へと向かう。2人の家は3ブロックしか離れていない。
階下で卜厶の母親から飲み物を受け取り、卜厶の部屋に入る。少々ぐったりしている彼が
ベッドに横になっている。驚きが顔に出てしまったのか、卜厶がちょっと笑う。
「仮病だと思ってたんだろ?」
「ああ、正直そう思ってた。ごめん。」
「君に嘘はつかないよ。ほっとしたのは事実だけど。」
ベッドの端に腰掛け、彼の額に手を当てる。やはり少し熱い。そのまま額を撫で、話しかける。
「事務所回り、そんなに嫌なのか?」
「知らない人と会うのが嫌なんだ。相手も僕と会いたがってなんかいないんだよ。」
売り込み行為自体を崩壊させるようなことを言い出す卜厶に向けて、シ"ェリーは軽く顔をしかめ、
苦笑いし、溜息をついて見せる。
「俺たちが初めて会ったのはいつだっけ?」
「4年前の学芸会の練習。君がウサギで、僕はチェシャ猫だった。」突然の話題の転換と、自明の
ことを言わされたことをいぶかしむように、卜厶が不思議そうに答える。
「どうしたの?今さらそんなこと。」
「いや、ずっと家も近所だし、どうしてもっと早く知り合わなかったのかと思って。接点だって
あったはずだろ? 礼拝とかさ。」
「僕は君のような人間をなるべく避けていたから。」彼はさしてつらくもなさそうに言う。
「俺は本当はもっと前からお前を見ていた。…それより3年前に、学校集会で歌ったろ。」
「ああ…」卜厶の目が閉じられる。「Too Young…」微笑んだ口元からかすかに歌が零れる。
「どう思った?」
「腹が立った。」そう言うと、卜厶の目が少し開き、心配そうに、窺うようにシ"ェリーを見上げる。
「女の子が騒ぐその声を与えられたのが、自分じゃなかったからな。」笑いながら続けると、彼も
少し安心したように笑顔に戻る。額に置いていた手を髪に差込んで動かす。
「あの時、初めて自分も歌おうと思ったんだ。お前が歌うのを聞いて。」卜厶の目が驚きで見開かれる。
「初耳かい?」彼が頷く。
「釣りあう位に歌えるようになったら声をかけようと思っていた。そしたらちょうど学芸会の練習で
一緒になった。」靴を脱ぎ、ベッドに上り、彼に覆い被さる。
「…お前の歌が俺の人生を決めたんだ。」顔を両手で挟み、額にキスをする。目を覗き込む。
「その責任を取ってくれ。」
「…本当に僕がきっかけ?」
「ああ。お前の声を自分のものにしたかった。お前の声に合わせて歌いたかった。お前は最高の
歌手だ。俺がちゃんと知っている。他の奴らが何を言ってもお前が気にする必要はないんだ。
お前は俺以外と喋らなくていい。交渉は俺がやる。
…お前の口は歌うことだけに使えばいい。それとキスをして、時々別のことをしてくれれば。
わかった?」
笑いながら唇を指で辿ると、彼が微笑みながら、覗かせた舌を少し這わせる。唇にキスを
しようとすると
「うつるよ。」と笑って顔を背ける。
「ウィルスのせいじゃないだろ。嫌だから熱出したくせに。」シ"ェリーも笑いながら、押さえ
込んで唇を合わせる。卜厶の両腕が伸ばされ、シ"ェリーの首にまわされる。左手が肩から
背中に移動し、そっと撫でまわす。
「来週は大丈夫?」一度口を離して聞くと、卜厶が微笑んで頷く。
抱き合って、唇を交わす。毛布越しに、どちらも昂ぶっているのがわかる。目で問いかけるが、
卜厶は首を振る。今日はこれ以上に進むつもりはないらしい。身体を圧しつけてしばらく感触を
楽しんだ後、身を離す。
卜厶がかすかに身を捩りながら愚痴る。『…君のせいで熱上がっちゃったよ。』実際、彼の額は
先刻よりも熱い。枕元に腰掛ける。
「だからそれは病気じゃないって。もう今日は眠れよ。見ててやるから。」
「見てなくていいよ。」口の中でぶつぶつ言いながらも、卜厶は目を閉じる。シ"ェリーは床に降りて
ベッドに凭れ、手を伸ばして彼の顔を撫でる。彼を視界の端に捉えていた子供の頃は、これほど表情
豊かな人間だとは思っていなかった。その目は色々な情報を伝えてくる。シ"ェリーは少し苦笑する。
卜厶の表情が豊かなのは自分に対してだけということに気づいたからだ。
いや、逆かもしれない。自分だけが表情を読み取ろうと彼を見つめているのかもしれない。
…どちらでもいいことだ。自分達は2人で道を進むことを選んだのだ。
卜厶の目が開く。本当に見つめられていたことに気づき、一瞬その目を困惑の表情がよぎる。
「今週分書き入れたのが机の上にあるから、よかったら見ていって。」ちょっと自慢げに微笑みながら
言う。
シ"ェリーは机に向かい、大きな紙を取って戻ってくる。またベッドの端に腰掛け、今度は彼の頭を
右手で撫でながら紙を開く。グラフ用紙だ。ヒットチャートが丁寧な筆跡で書き込まれている。順位の
推移が線グラフで示されている。見やすく仕上がっている。数年前まで遡れるし、彼とその頃の
思い出を話し合うのは現在のシ"ェリーにとっては楽しみだ。
はにかみ顔の彼から初めてこれを見せられた時のことを思い出す。「趣味として」ヒットチャートの
グラフを個人的に書き続けている奴がいるなんて信じられなかった。当時の友人達が、
「あいつ…変だよな。」と囁いてきたのももっともだと思った。
それでも親しくなって良かった。自分の芸名として『Graph』を選ぶような数学好きの変人であった
としても。
髪に指を差し込んで掻き回し続ける。グリースで固めていないので、癖毛の柔らかな手触りを
満喫できる。
程なく卜厶が寝息を立て始める。安心しきった笑みを浮かべて。その微笑みは2人が出会った頃に
彼が扮していたチェシャ猫のような謎めいたものではない。
次の土曜日には、2人は楽しそうに街を歩いている。同じニューヨークでも、彼らの住んでいる
住宅街とは違う、大都会を。
まだドアは閉められ続けているが、卜厶はもう大丈夫だ。
隣ではシ"ェリーが、いまや2人分以上の厚かましい笑みをその顔に貼りつかせてドアを次々と
叩き続けている。
物心づいて以来、わずか4、5歳の頃から、卜厶は自分の歌声が大好きだった。でも彼は自覚
している。シ"ェリーがいなければ、自分は歌手になろうなんて決して思わなかったということを。
1人だったら、今でも自宅の地下室から絶対に一歩も出なかっただろう。
今、卜厶の胸の中は喜びと誇らしさで満たされている。隣にいるシ"ェリーこそ2人の、そして卜厶に
とってのエンジンだ。ただしその“エンジン”に数年前に点火したのは他でもない自分、
自分の歌なのだ。彼は自分の声は単なる「快い」ものではなく、「特別」なものなのだと認識する。
後に彼の声は大勢の人間の、世界中からの賞賛を浴びることになる。しかし彼がひたすら求め
続けるのは自分の隣に立つ小柄な少年、彼のエンジンからの承認と微笑みだけだ。
―――
ある日、スタジオでデモレコードを作っている2人に、1人の男性が声を掛けてくる。
「君たちには才能があるぞ。君たちを第二のフォエヴァーズにしてあげよう。」
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )イツモバショヲカシテイタダキ
| | | | ◇⊂ ) __ キョウシュクデス
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
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前スレ末尾でご反応下さった方々、本当にありがとうございます。
(でも677さん、お母様には言わないで下さい。)
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