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ホーンブロワー ホーンブロワー→ブッシュ『諸君、私はブッシュが好きだ』

(そうだ!
 どうせ聞こえるなら、聞かせてやる!
 ブッ シュ!
 好きだァー! ブッ シュッ! 愛しているんだ! ブッ シューーーーッ!
 副長にならないかと誘う前から
 好きだったんだ!
 好きなんてものじゃない!
 ブッ シュの事はもっと知りたいんだ!
 ブッ シュの事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
 ブッ シュを抱き締めたいんだァ!
 潰しちゃうくらい抱き締めたーい!
 心の声は
 心の叫びでかき消してやる! ブッ シュッ! 好きだ!
 ブーーッ シュッ! 愛しているんだ!
 わたしのこの心のうちの叫びを
 きいてくれー! ミスタ・ブーーーーッ シュ!
 レナウン号で初めて見てから、ブッ シュを知ってから、わたしは君の虜になってしまったのだ!
 愛してるってこと! 好きだってこと! わたしに振り向いてくれ!
 ブッ シュがわたしに振り向いてくれれば、わたしはこんなにも苦しまなくてすむんです。
 優しい君なら、わたしの心のうちを知ってくれ、わたしに応えてくれるだろうと思う
 わたしは君をわたしだけのものにしたい! その美しい心と美しいすべてを!
 誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
 恋敵がいるなら、今すぐ出てこい! 相手になってやる!
 だがミスタ・ブッ シュがわたしの愛に応えてくれるなら戦いはやめておきます
 わたしはブッ シュを抱きしめるだけでいい! 君の心の奥底にまでキスを贈りたい!
 力一杯のキスをどこにもここにもしてみせる!
 キスだけじゃない! 心から君に尽くしたい! それがわたしの喜びなんだから
 喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらう!
 ブッ シュ! 君が軍法会議に素っ裸で出席しろというのなら、やってもみせるッ!)
「どうしました、艦長?」
「アー、ハン(* ゚д゚)」

諸君 私はブッ シュが好きだ
諸君 私はブッ シュが好きだ
諸君 私はブッ シュが大好きだ

怒鳴り声が好きだ がっしりした体が好きだ 仕事ができるところが好きだ 大の字になって寝るところが好きだ
優しさが好きだ 鷹揚さが好きだ 勇敢さが好きだ 実直さが好きだ 考えていることがすぐ顔に出るのが好きだ
レナウン号で ホットスパー号で リディア号で サザランド号で 
ウィッチ・オブ・エンダー号で ノンサッチ号で 陸で 海で 甲板で 船室で
この地球上で見られる ありとあらゆるブッ シュが大好きだ
一列に並んで砲を押し出した ブッ シュ指揮下の砲兵の一斉砲撃が 轟音と共に敵艦に 命中するのが好きだ
操作不能に陥りマストも折れた敵艦が 吃水線の下に弾を食らって徐々に沈んでいく時など 心がおどる
操舵手の操る 荒波に揉まれる艦の甲板で ドキドキしながら海を眺めている姿が好きだ
野獣のような叫び声を発し 狂気渦巻く甲板の 押し寄せてくる敵兵の一団に 斬り込んでいった時など 胸がすくような気持ちだった
収まりの悪い積荷を 苦労して整然と積み込んだのに それを移動させられて 拗ねて悲しんでいるのが好きだ
艦を訪れた お忍びのロシア皇帝を前に こちこちに緊張している様など 感動すら覚える
癇癪を起こした敬愛する上官に 冷たくあしらわれて とぼとぼとした足取りで去っていく様などはもうたまらない
自分の上官が 隣の船室であれこれ悩んでいるときに 小さなベッドに大の字になって 気持ちよく昼寝しているのも最高だ
自分が訓練した 素人同然の水兵達が 砲弾の飛んでくる甲板で 勇ましくも作業を続ける様子を 誇らしい思いで眺めている様など  絶頂すら覚える
任官試験に 一夜漬けで挑んだところが好きだ
軍の縮小に伴い半給生活を強いられ 一杯のビールに悩んでいる様を見るのは とてもとても悲しいものだ
受け取ったばかりの給料を 親友に差し出そうとする優しさが好きだ
士官として十分信頼できる能力を持っているのに なかなか昇進の機会が与えられないのは 屈辱の極みだ

諸君 私はブッ シュを 怒涛のようなブッ シュを望んでいる
諸君 私に付き従う艦隊戦友諸君 君達は一体 何を望んでいる?
更なるブッ シュを望むか? ブッ シュの怒号の届かない 味気ない陸上生活を望むか?
滅多に口にできない料理を前に 満面の笑みで喜ぶ 子供の様なブッ シュを望むか?

ブッ シュ!! ブッ シュ!! ブッ シュ!!

よろしい ならばブッ シュだ
我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとする導火桿だ
だが この陸上生活を余儀なくされた辛い日々を 何年もの間 堪え続けて来た我々に ただのブッ シュではもはや足りない!!

大ブッ シュを!! 一心不乱の大ブッ シュを!!

我らはわずかに一個艦隊 百人に満たぬ貧乏士官に過ぎない
だが諸君には 自由に使えるお小遣いが5ポンドはあるものと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総額500と5ポンドのお小遣いを有していることになる
我々を陸へと追いやり 彼を独占し続けた連中を引きずり出そう
髪の毛をつかんで 舷側へ連れて行き 眼下でうねる海面を 見せ付けてやろう
連中に独占という悪行が何を齎すか 思い出させてやる
連中に我々の 対ブッ シュ用猫撫で声を思い出させてやる
天と地とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ情熱がある事を思い出させてやる
一百人の貧乏士官のお小遣いで ブッ シュの前に高級料理を並べ尽くしてやる

「これより全艦に向け信号を送る」 <全艦総員行動開始せよ>
「抜錨用意 ヘッドスルをほどけ マストに登ってトプスル解き方用意」
<最後の待機艦隊 艦隊司令官より 全待機艦へ>
「針路 西南西 ポーツマスより出航する!!」
<『第二次みんなでブッ シュと会食作戦』始動 帆走を開始せよ>

征くぞ 諸君


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